
神話と、現代。
遠く離れているようでいて、
実はとてもよく似ているのかもしれない。
古事記に描かれた「家族」や「夫婦」のかたち。
タイラクルカは、そのはじまりに立ち返りながら、
揺れながらも続いていく、人と人との関係に目を向けています。
語り継がれてきたはじまりの物語のなかに、
いまを生きる私たちの感情と、
ふいに重なるような問いがそっと残されています。
これは、
古代と現代、記憶と想像のあいだをたどる、
一つひとつの“てん”を巡る、静かで確かな旅。
タイラクルカ、鹿児島初個展。
「てん」と名づけられた、物語のはじまりです。
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タイラクルカ Solo Exhibition 「てん」
2025.6.13 Fri – 7.7 Mon
入場料:500円(18歳以下無料)
休廊日:毎週火曜
【展示限定ガチャ、登場】
ご来場の記念に、タイラクルカ氏の缶バッジをプレゼント。
作品のお問い合わせ | info@tenchijin-g.jp
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作家より –
今回の個展「てん」では鹿児島でゆかりの深い古事記をモチーフに製作しました。
古事記には多くの家族が登場します。古くから存在する「家族」という関係性に着目しました。
メインビジュアルの「start」という作品は日本の神様と島々の親であるイザナミとイザナギが結ばれるシーンをモチーフにしました。
現代の作品と比べるとぶっ飛んだものが多く、かなりスパイスが効いているところが古事記の好きなところなのですが、この最初に島を産むシーンでは、女神であるイザナミが先に愛の言葉を送ったことが原因で不完全な子が生まれます。後に色々あって多くの島と神様を生み出す始まりのシーンです。
夫婦とはなんなのか、家族とはなんなのか。古事記というモチーフを通して深掘りできたらと思います。
様々な話の展開がある古事記ですが、個人的にはオオゲツヒメノカミという神様の話が不憫で一番好きです。現代語訳版の古事記もあるので、これを機にぜひ読んでいただけたら幸いです。

Artist | タイラクルカ
2000年東京出身。
2022年の個展「してん」を機に作家活動を開始。人間と関わりの深い動物を通して、人の思考や行動を描いている。
個展
2025 個展「のてん」 (Dalston Gallery,東京)
2024 個展「レてん」 (Quadrivium Ostium、鎌倉)
個展「るてん」 (TRiCERA、東京)
2023 個展「きてん」 (ACTギャラリー、東京)
2022 初個展「してん」(東京)
アートフェア
2023 ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023(福岡マリンメッセ、福岡)
2024 ART TAIPEI 2024(台湾)
受賞歴
2024 100人10 で野村證券アワードを受賞
2023 muni Art Award で準グランプリを受賞
lndependent Tokyo でタグボート特別賞、 特別審査員 陳彬賞を受賞
IAG awards 2023 奨励賞、八犬堂賞受賞
ACTアート大賞最優秀賞受賞
上野の森美術館大賞入選
2022 長亭GALLERY OJUN賞受賞
犬という生き物は人にとって、とても身近な生き物であり、家族であり仕事仲間であり、良きパートナーであると思います。しかし、犬は人間ではありません。人間では無いからこそ、モチーフとして登場する時、あらゆる形で自己を投影できるのでは無いかと思います。
私が作家活動を始めたての頃、政治家の風刺画を描いた際「なぜ女性は描かないのか」と質問を受けたことがありました。私は政治家の「人間」という生き物を描いていたつもりでしたが、その鑑賞者には「男性」という生き物が見えていたのです。人間というモチーフは鑑賞者が人間であるが故に、伝えたいものが見える前にモチーフの情報が先に立ち塞がってしまう人もいることを実感した出来事でした。
犬という生き物はおよそ10万年の非常に長い歴史を持っています。その中で人間と出会い、生きるために共存しあっていました。美談に聞こえる犬の歴史ですが、ここ100年から200年の間に「純血種」という考えのもと行われる繁殖計画が盛んになりました。今の時代タブーとされる人種差別も、犬のこととなるとステータスになり、それを維持するために意図した近親交配が繰り返されることもあります。共依存の名の下に、離れることのないこの関係性はそれぞれ一つの生き物として客観的に見た時、非常に特異なものなのではないだろうかと思います。